雅に行こうぜ

アンセルの破茶滅茶で雅な日々の記録

セルサーガ、第1話

 

ガタンゴトン、ガタンゴトン

 

3日前、俺は地球を発った。地球では泥水啜るようなクソみたいな暮らしを強いられていたが、いざ星を飛び出してみると重力が恋しいぜ。

 

人は鳥が空を飛ぶことを自由のイメージと重ねるが、果たして鳥は本当に自由なのだろうか?

 

んなもん知らねぇ。

 

はたから見てそいつを自由だと思っても、そいつ自身が自由を感じれることが無ければ、そんなもんに何の意味もありゃしねぇ。

 

空を飛べる自由にも魅力を感じるが、重力に縛られて地べたを這いつくばってても、その範囲の中で得られる自由ってのもきっと悪くねーんだろうな。

宇宙に来ると、そんな事を考えさせられるぜ。

 

銀河鉄道の運航が始まってからもう四半世紀が過ぎた。

手を伸ばしても掴めなかった星々を、今ならきっと掴むことができる。

 

人類の進歩と科学の発達は偉大だ。頭の良い人間がこの先もずっと頑張り続けたなら、きっと不可能なんてないんだろうな。

 

ま、俺には関係のない話だ。

 

 

俺が地球を離れたのには理由がある。宇宙の果てにあると言われている地球よりも遥かに高度な文明を持った星、惑星オペイクで手に入るとゆうメカの体を求めて飛び出したんだ。

 

地球では一部の権力者や金持ちしかメカの体を買うことはできない。

メカの体を持ってる奴は定期的なメンテナンスさえすれば半永久的に生きることができる。

だが奴らは皆傲慢で、メカの体を買うことのできない人間を奴隷のように扱って嬲り殺している。

奴らはもう人間じゃない、悪魔だ。

一生懸命生きている人間の命乞いを踏み躙る瞬間こそが奴らメカ人間が生を実感できる唯一の愉悦の時なのだ。

 

 

 

ここまでは銀河鉄道999の設定と寸分違わず同じだ。

 

 

 

だがそんな事構うことはない。

 

俺は地球では自転車を漕ぐ力によって電力を生み出す発電装置で発電する仕事をしていた。

 

要するに自転車を漕ぐ仕事だ。

 

勤務形態は12時間勤務の2人1組制で、1時間自転車を漕いだらもう1人と交代して1時間の休憩に入る。

それを12時間2人で交互に繰り返していくわけだが、銀河鉄道すら走っているこの時代に何故こんなアナログな仕事が存在しているのかは謎だ。

 

この仕事のすごいところは実質労働時間が6時間しかないにもかかわらず日給24000ドープも貰えるとゆうところだ。

この高給と俺が生み出す電力と費用対効果は割に合ってるのか、まぁそんな事は俺が考える事ではない、俺はただ自分の仕事を果たすだけだ。

 

だがこの仕事も楽と言えばまぁ楽なのは間違いないのだが、1日6時間自転車に乗るとゆうのは実は思ってる以上にハードで、もはや俺の足は悲鳴を上げていた。

 

「はぁ、俺もメカの体が買えればなー、疲れなくてすむのに」

 

ポツリと呟きながら家路につく。家に帰って何気なくテレビをつけると気になるCMが俺の目に飛び込んできた。

 

「やっぱりメカの体はMADE IN opeikにかぎるよなー!」

 

「えーオペイク産のメカの体は何が違うの?」

 

「そりゃーもうフローからライミングから他とはまったくの別物さー!」

 

「シンジラレナーイ!!!」

 

何だこのうすっぺらいCMは、と思ったが何やら気になる情報が入ってきた。

 

「惑星オペイクが誇る宇宙でも有数の老舗メカブランド、ぽんこつ屋が10998年モデルのニューデザインのメカの体をリリースすることになったわけなんですけども、それに伴って前前前期の古くなったモデルを型落ちとして今回100万名様限定で出血大サービス、なんと無料でご提供させていただきます!」

 

「えー何それ太っ腹ー」

 

「尚、商品に関しては一切のオンライン予約は受け付けておりませんので、すべて店頭でのみの早い者勝ちになります!ご希望の方は是非お早めに惑星オペイクぽんこつ屋の方までお越しくださいませ!」

 

「合点承知いそがなくっちゃ!」

 

 

メカの体が、、、無料で手に入るって、、、!?

 

メカの体を手に入れようと思ったら中古ですら軽く100000000ドープは請求される、それもキャッシュで。

 

俺なんかが手に入れようと思っても一生かかったって無理だろう、それが、無料で、、、

 

メカの体を手に入れることができればもうチャリを漕いでも疲れることがなくなるぞ、これはもはや行くしかあるめぇよ!

 

こうして俺はその日のうちに銀河鉄道の切符を買い列車に乗り込んだ、もちろんキセルだ。

 

だがこの時の俺はまだ知る由もなかった、この事が後に全宇宙を巻き込んだ大事件に発展していくことを、、、

 

 

                                                                  つづく